新宿から2駅先にある中野坂上のマンションの一角に、インターフォンを押さないと入店できない「ワインカーヴ藤小西」を発見。
少しの勇気を出してインターフォンを押せば、気さくなスタッフさんとワイン好きにはたまらない空間が広がります。
そんなワインカーヴ藤小西の店長西村さんにお店の特徴とご自身の日本のワインについての想いをお聞きしました。
–本日はよろしくお願いします。はじめにワインカーヴ藤小西がどんなお店か教えてください。
元々は1階で飲食店もやっていたのですが、数年前にリニューアルをして今の場所で角打ちも出来るワインショップをやっております。
–販売されているお酒の種類を教えてください。
シーズンや在庫状況にもよりますが、だいたい300~400種類で約1,000本程度を取り扱っています。
割合としては日本と海外ワインが半々で、ビールなどを多少販売しているといった感じです。
–商品が入れ替わるサイクルを教えてください。
小さなショップのため、棚が空き次第補充するような形なので何とも言えませんが、ひと月ごとにラインナップは変わっていると思います。
農閑期はワインのリリースが多いため、入れ替わりがほかの時期に比べて早いかもしれません。
–お付き合いがある日本のワイナリーの特徴を教えてください。
現在は約100件のワイナリーとお付き合いがあります。北海道のワイナリーが多いかな。
お付き合いを始めるきっかけは実際に試飲をさせていただき味や国産ブドウを使用して醸造している事、ブドウ以外は基本的に何も添加していない事などを判断の基準にしています。
–販売されている日本のワインの特徴を教えてください。
取り扱いの価格帯は2,000~3,000円代でお家などで気軽に楽しめて手に入りやすいアイテムが中心です。
地域や品種も様々ですが、自然派と言われる体になじむような優しい味わいの物が多いと思います。
あなたにピッタリのお酒を見つけるために
–お客様からオススメを聞かれたときに提示してもらいたい情報を教えてください。
情報は多いに越したことはありませんが、ご予算や種類(赤、白、スパークリングなど)を教えていただければ、その後は会話をしながらご提案させていただきます。
ワインにあまり詳しくないお客様は、「すき焼きに合うワインは、どれですか?」など具体的な料理名などを言っていただけるとご提案しやすいです。
プレゼント用などの場合、お相手の出身地などの情報をいただければ、選択肢として出身地のワインを提案できます。
これからワインを勉強されていく方は、飲んでみて好みだったワインの情報を記録して、お伝えいただければご提案がしやすくなると思います。
※編集部注(以下略):エチケット(ラベル)の写真を撮っておくぐらいの気軽な感じでOKだそうです。
–お買い物をするのにオススメな曜日や時間帯があれば教えてください。
平日の早めの時間帯であれば、会話をしながらゆっくりお買い物ができると思います。
また毎月、満月の日はグラスワインとして熟成させた日本ワインなどを店内の角打ちで提供しています。
–お店に関する情報を知るための方法があれば教えてください。
Instagramを中心にTwitter、Facebookでオススメワインの情報や、満月の日に角打ちで提供予定のスペシャルワインの情報を発信しています。
※:後日、nippon.wine編集部で調べたところ過去には城戸ワイナリーや農楽蔵などの販売情報が配信されていました!
満月の日はスペシャルラインナップ
※:編集部が満月の日にお店に寄らせていただいた時には、農楽蔵「ノラポン」、ボーペイサージュ「Kurahara La Bois」、ドメーヌ・オヤマダ「BOW!赤・白」が提供されていました。
–続いて角打ちについてお伺いいたします。角打ちが可能な時間帯と提供しているワインの種類など基本的な内容を教えてください。
お店がオープンしていれば、角打ちはいつでもご利用いただけます。
ラインナップとして日本と海外ワインの中から赤・白・ロゼをバランスよく3~6種類ご用意しており、ボトルが空いたタイミングで新しいワインを追加しています。ワイン変更のタイミングであればお好みをお伺いする事も可能です。
また、お得なご利用方法として当日当店で購入されたワインであれば複数人のご利用であっても1本あたり700円いただければ店内でお楽しみいただけます。
おつまみは軽めの物で”茹でたフランス産そら豆”や”チーズ”など4~6種類をご提供しております。
–満月の日の角打ちについて教えてください。
満月の日は提供する種類を増やし、熟成させた日本ワインなどスペシャルラインナップをご用意しております。
※:詳しいラインナップはSNSで情報発信しているとのこと。
日本のワインに興味を持った1本とは
–続いて西村さんについてお伺いいたします。日本のワインに興味を持ったキッカケがあれば教えてください。
元々、海外のワインは飲んでいて、日本のワインにも興味はありました。
キッカケは2013年頃に、卒業祝いで兄と高円寺にある葡庵さんへ行ったときに農楽蔵「ノラポン・ルージュ」を飲んだこと。淡い色や味わいにまず驚きました。
さらにセパージュを調べて、メルローを使ってこんなに淡いワインができることに感動した事で本格的に日本のワインに興味を持ちました。
–日本のワインの魅力を教えてください。
日本の環境で生産されたブドウで醸造されたワインなので食事と合わせやすいと思います。普段の食事のお供で気軽に飲んでもらいやすいと思います。
またブドウ作りや醸造、生産地域の気候条件などワイン造りに関わる事が想像しやすい事も魅力です。ワイナリー訪問(見学)やイベントなどで生産者と直接やりとりできるのも大きいと思います。
–お客様に日本のワインの魅力を伝える時に心がけている事などがあれば教えてください。
あまりワインを飲まれていない方へは、ナイアガラやデラウェアなど日本でもおなじみの生食用ブドウで作られるワインの魅力や特徴をお伝えしたりしています。欧州では嫌われがちなフォクシー・フレーバー(生食用ブドウのような香り)も日本人には好まれやすい香りのため、日本のワインの特徴としてお伝えする事もあります。
ワインをよく飲まれている方へは、日本で生産されているピノ・ノワール、メルロー、ツヴァイゲルトなど海外でもよく使用されるブドウ品種の魅力や特徴を海外で生産されるブドウと比較したりしてお伝えしています。
セイベル13053は可能性がある
–注目している地域やブドウ品種があれば教えてください。
ます、注目している地域は北海道です。北海道はワイナリー自体が増えていることもあるのですが、有機栽培の畑でブドウを作り、自然酵母を使って醸造し、亜硫酸の添加も極力抑えるといったナチュラルな作りをする生産者が増えている地域です。
ナチュラルな作りをするワイナリーが増えている要因は、ナチュラルな作りで有名なドメーヌ・タカヒコの曽我貴彦さん、10Rワイナリーのブルースさんが北海道にいらっしゃるのが大きいのかなと思います。
続いてブドウ品種ですが、「セイベル13053」に注目しております。
セイベル13053は寒さに強い交配品種で、たぶん北海道でしか作っていない品種。
タンニンが控えめで淡い作りですが酸もあり、しっかりした吞み口でとてもバランスが良く可能性を感じています。
機会があればセイベル13053を使用したワインを是非飲んでいただきたいです。
–最後に日本のワインの情報をキャッチするために大切なことがあれば教えてください。
とにかく行きつけのお店をつくって店主と仲良くなればおのずと情報は入ってくると思います。
購入するものが決まっていたとしても、まずは店主やスタッフに話しかけてみることが、仲良くなる近道ではないでしょうか。
当店の場合は、角打ちでワインを飲みながら色々とお話できるかと思います。
–本日は貴重なお話をありがとうございました。
インターフォンを押さなければお店への道が開かないという珍しいワインショップですが、お店に入ってしまえばワインのラインナップはもちろん、店長さんは気さくでお話が面白いし、音楽のセンスがとてもよく居心地が良い空間でした。
お店で女性が一人で飲まれているところをよく見かけます。女性が一人で気軽に寄れるワインショップってステキですね。皆様もお近くに行った際はフラっと寄ってみてはいかがでしょうか。
当メディアの編集部です。「日本ワインを楽しもう!」を理念に掲げ活動中。