様々なワインの醸造方法を見てみよう

ワインは、製造方法からお酒の中で醸造酒にあたります。さらにワインの中でもその製造方法によって、赤ワイン・白ワインやスパークリングワイン(発泡性ワイン)など様々なカテゴリーが存在します。このページでは、カテゴリー別にワインの様々な醸造方法をご紹介します。

赤ワインの代表的な醸造方法

赤ワインの原料は黒ブドウと呼ばれる果皮に色がついたブドウです。私たちが目にする赤ワインの色合いは果皮から抽出された色素であることがわかります。

まず、収穫してきたブドウを果実の部分とへた(果梗)に分けて果実を絞る作業(破砕)を行います。その後、絞った果汁に、果皮・果肉・種子などを漬け込み(醸し)アルコール発酵をさせていきます。この時に果皮から赤色の色素が抽出されます。

発酵の終わったワインを圧搾機にかけて絞ります。絞りだされたワインは木樽やステンレスタンクで熟成されていきます。この熟成期間の様々なアプローチによりワインはそれぞれの個性を生んでいきます。熟成を終えるタイミングで、それまでの過程ででた不純物などを取り除く作業(滓引き・清澄)をして、瓶詰めされて完成します。ワインによってはそこからさらに熟成させるものもあります。

白ワインの代表的な醸造方法

赤ワインの黒ブドウに対して白ワインの原料は白ブドウという果皮に色がついていないブドウを使用します。赤ワインと同様にまずは房と果梗に分けてブドウ果汁を出すために果皮を破る作業を行います。これを除梗・破砕と呼びます。

破砕したブドウを圧搾機にかけて絞ります。赤ワインのように色素を抽出する作業は行いませんので、果汁に果皮や種子を漬け込むこと(醸し)は基本的には行いません。

絞った果汁をアルコール発酵し、ステンレスタンクや木樽で熟成させていきます。一般的にはステンレスタンクで熟成させるとスッキリとした味わいに、木樽で熟成させた場合は複雑な味わいになります。

アルコール発酵が終われば、不純物を取り除く作業(滓引き・清澄)を行い瓶詰めをして完成します。

(白ブドウから色素を抽出するために赤ワインの醸造方法を用いる場合があり、それらのワインはオレンジワインと呼ばれています。)

ロゼワインの醸造方法

ロゼワインの醸造方法の代表的なものは、セニエ法・直接圧搾法・混醸法の三種類があげられます。

・セニエ法…これは血抜きとも呼ばれる方法で、赤ワインの醸造の途中、ある程度色がついた時点で果汁を抜き取り、果汁だけを発酵させる方法です。この方法が最も有名な方法と呼べるでしょう。

・直接圧搾法…黒ブドウを使い白ブドウのような醸造方法を行い、淡い色調をを抽出する方法です。

・混醸法…黒ブドウと白ブドウを混ぜて醸造したり、または黒ブドウの果汁と白ブドウの果汁を混ぜて発酵させる方法です。

ドイツのロートリングワインなどが有名です。日本では色合いの薄い果実を直接圧搾するか、セニエ法が多く使用されています。サントリーワイナリー、登美の丘ロゼ・塩尻メルロロゼなどはセニエを感じられる代表的なワインといえます。

スパークリングワインの醸造方法

一般的に発泡しているワインのことをスパークリングワインと呼び、それ以外のワインをスティルワインと呼びます。ここでは、スパークリングワインの醸造方法として代表的なものを三種類ほどご紹介させていただきます。

・トラディショナル方式・・・別名シャンパーニュ方式と呼ばれる瓶内発酵を行いその時に発生した炭酸ガスを瓶に閉じ込める方法です。特徴的な工程としてルミアージュ(動瓶)という作業工程があり、6~12週間かけて熟成させながら、滓引きを行っていきます。これにより個性的な発泡ワインが出来上がります。

・トランスファー方式・・・トラディショナル方式を簡素化したもので、特に熟成の期間を設けずに素早く清澄作業を行いますので、ワインとしては一般的に単調な味わいのありがちですが、コストパフォーマンスに優れます。

・シャルマ方式・・・上記の方法とは違いタンク内で大量に発酵を行い、濾過・瓶詰めしていきます。さわやかでライトなスパークリングワインに仕上がります。 そのほかにも強制的に炭酸ガスを注入する方法や田舎式と呼ばれる方法など、様々な醸造方法が存在するのもスパークリングワインの面白さです。

日本のワイナリーだとどのような方式が主流なのでしょう。例えば山梨県マンズワインのソラリスや、長野県のサンクゼールスパークリングなどは瓶内二次発酵(トラディショナル方式)を用いていますが、プライス的にはやや高額になります。コストパフォーマンス優れた日本ワインのスパークリングは、ガス充填方式やシャルマ方式が主流のようです。

まとめ

このようにワインには様々な分類があり、その分類ごとに醸造方法にもいろいろなアプローチが存在することがわかります。今回ご紹介した方法以外にも、ブドウの産地やワインの銘醸地では歴史に裏付けられた醸造方法数多く存在します。ワインというお酒は世界で最も古いお酒であり、その醸造に携わった人々はより良いワインを追い求めてその時々において英知を結集し試行錯誤を繰り返してきたことでしょう。

皆様もワインを口にするときに、どんな方法で作られたワインなのかを想像してみてはいかがでしょう。また違った角度からワインの歴史を味わえるかもしれません。

この記事のライター:松本 真
(株)シンプルプラン取締役、The Matsumoto Kitchen シェフソムリエ、京都祇園イタリアン『Cara Ragazza』の料理長兼ソムリエを経て、2010年にRistorante ilficoを開業。2014年から南京都城陽市で『城陽ワインプロジェクト』を発足。現在同市内において200本のシャルドネを育成中。将来的には生まれ故郷にワイナリーの開設を目指す。